「認知看護の基本である人権の尊重やその人らしさを大切にしたい!」

そのように力強く答えてくれました。

「患者さんの尊厳を守りたい」このテーマは日本のみならず世界でも非常に重要なテーマではないかと思います。

患者さん本人の意思や、家族の思いの違いも出てくるのが認知症という疾患を抱える場面では難しくなるとも思います。

しかし、認知症看護の現場では、タイトルにあるように、「より良く死ぬ為により良く生きる」ことを心がけ働いている看護師さんばかりです。

患者さんが「より良く死ぬ為に、より良く生きる」ということはどのような考えであり、また、患者さんと家族、そして病院とどのように連携していけばいいのか?

その想いや考えを追いました。

認知症患者さんが安心できる環境にする為にしていること

認知症患者さんだけではなく、認知症患者さんが入院するとなると、家族も不安はあります。

その不安を軽減させていく為に、看護師さんは日々様々な配慮をしながら業務に当たっています。

その中で、みなさんおっしゃっていることは、「笑顔や声かけ」というコミュニケーションを怠らないということです。

認知症患者さんとコミュニケーションを取るということは、スキルが必要でもあると思います。

通常とは違ってコミュニケーションが取りにくい時もあり、なかなか思い通りに行かないことも多いです。

その中で、「安心できる環境」にする為にどのようなことを行なっているのでしょうか。

小阪病院では各種研修があり患者さんのための看護ができる勉強を行なっています。

小阪病院では、看護師さんをはじめ、研修制度が充実しており、患者さんや家族が安心できるように、どのようにコミュニケーションを取ればいいのか?などをしっかり教わる「場」があるそうです。

その上で、実際に経験を積みながら、患者さんとのコミュニケーションをしっかりととり、「馴染みのある関係性」を意識して作っているそうです。

コミュニケーションをとっても境界線をしっかり引くことが大切

介護施設などの問題点でもある「境界線」ですが、看護の現場でも当然ながら「距離感」の問題はあります。

それは患者さんに対しても、家族に対してもそうなのですが、境界線が引けないと必要以上の業務になってしまい、看護師さんが疲弊してしまいます。

「できることはやる、できないことはしない」

シンプルですが、このような考えが一番大切だということもお話ししてくださいました。

人間関係の場では、この境界線は非常に重要で、ちゃんと引けずに背負ってしまうと不満が多くなったり、人間関係がうまく行かずに、組織としても崩壊してしまいます。

その辺も、研修などでしっかりフォローやケアをされているそうです。

介護施設などでは、この「境界線」が曖昧になってしまい、内部崩壊が起こってしまっている。

休みも働いてしまっているような施設も一部ですが存在します。

患者さんの尊厳を守る為には看護師さんの働き方も病院側がしっかり守ることも大切なのですね。

家族も認知症への知識をほんの少し持って欲しい

「家族がもう少し認知症に対して理解して欲しい」

これは看護師さんのクレームではなく願いでもあります。

認知症患者さんを病院や施設任せにするのではなく、もう少し認知症への理解、知識を持った方が、認知症患者さんの入院への理解もスムーズになります。

そして、家族が理解して、知識を得ることが患者さんが、「より良く死ぬために、より良く生きる」という尊厳を守ることへと繋がっていくのではないでしょうか。

まだまだ、認知症は一般社会では理解が進んでいません。

もっと私たちが知識をもち「知る」ことで、今まで以上に看護師さんや病院のみなさんが胸を張って、自信を持って働いていけるのではないかと話をお伺いして感じました。

認知症病棟で働く看護師さんはもっと尊敬されるべき仕事だと思う

認知症の患者さんの世話をしていると友人などにいうと「大変だね」「きついでしょ」「私には無理だ!」なんて言葉ばかり返ってきますが、私たちはここで働くことが楽しいし、誇りに思います!

このように笑顔で話してくださいます。

そんなみなさんを見て、私たちは、もっと沢山のことを知らないといけないということを実感しました。

まだまだ一般的には理解が少なく、現場のことは未知の世界ではあります。

しかし、そこに入院している患者さんやその家族、そしてそこで働く看護師はじめ病院のみなさんへの想いを我々がもっと理解していく社会になっていくことが必要だと感じます。

家族や病院、看護師さんだけに背負わせることではなく、認知症患者さんが「より良く死ぬために、より良く生きる」環境を国民が意識して作っていく必要があるのではないでしょうか。