今、人手不足が大きな問題となっています。

その中でも特に、介護業界では、慢性的な人手不足に悩まされています。

”介護事業所の9割が採用の困難さを理由に挙げていることが、財団法人「介護労働安定センター」が8月3日に公表した2017年度の介護労働実態調査で分かった。”

とあるように、深刻な人手不足問題を抱えています。

人手不足倒産が過去最高を記録するなど、介護業界だけではなく、人材確保は大きな課題となっています。

引用元: 朝日デジタル「採用が困難」が88・5%(同73・1%)で最多、次いで「離職率が高い」が18・4%(同15・3%)、「事業拡大によって必要人数が増大」は10・8%(同19・8%)だった。採用が困難な原因を複数回答で尋ねると、「同業他社との人材獲得競争が厳しい」「他産業に比べて、労働条件などが良くない」がそれぞれ半数以上を占めた。

一方介護業界では、これから先の2025年問題も関係し、業務拡大をしたいけど、人手が足りないという状況は起こっています。

介護業界は、労働環境の過酷さから、求人を募集してもなかなか人材確保に繋がらない場合が多いようです。

人手不足が慢性的になってしまって、業務過多となっていることが多く、これが離職の原因になるという負の連鎖が起こっています。

では、その負の連鎖をなくすためには一体どういったことが必要なのでしょうか?

人手が足りないから、業務過多もしょうがないと思っていませんか?

それを業務過多や施設や事業所での問題を見ずに、すぐにやめてしまう従業員目の当たりにして、あなたは部下や社内で、「すぐに止める奴は責任感がない!」などと愚痴ってしまっているのが実情ではないでしょうか。

やめてしまう理由は、従業員が悪いというわけではないのかもしれません。

本当は業務過多で苦しんでいるのに言えない環境こそが問題である

従業員の多くは、介護職をやりたい!と思って働く人も少なくありません。

しかし、人手不足により業務過多になっていることに苦しみ悩んでいるのに、誰もその苦しみをわかってくれない環境が1番の問題なのです。

職場は戦場のように怒号が飛び交い、利用者さんの要求を断りきれずに、休みも連絡があり全く休んだ気にならない。

みんな同じように忙しいし、自分も頑張らないと回らないよなぁ。

と今日は定時で帰りたいのに言えない。

上司も、努力と根性で乗り切れ!としか言ってくれない。

このような環境だと業務過多で苦しんでいることはなかなか言えません。

その結果早期離職に繋がってしまうのです。

業務過多は会社の印象をブラックにする暴露を引き起こす

介護と同じように深刻な人手不足に悩まされている業界に、運送会社があります。

その最大手のクロネコヤマトで、先日、従業員がTwitterでブラックを暴露するということがありました。

これにより、さらにクロネコヤマトの印象は悪くなってしまいます。
https://twitter.com/KuronekoBlack2

人手が足りないから、自分が頑張らなくてはいけない。

頑張らなくては仕事を終われない。

そのような環境が、大きな不満、不安を生み出し追い詰めてしまうのです。

人手不足を解消する前に今働いてくれている人に目を向けよう

もし、あなたの会社で上司に、会社に、この状況は苦しい、おかしいと伝えられることができればどうでしょうか?

今の現状で、そんなことを言う人がいたら、「何を言っているんだ!みんな大変なんだ!」と突っぱねて終わりでしょう。

そのように突っぱねられたら辞めるしか選択肢は残されていません。

逆に、相談できる環境があれば従業員の気持ちを受け止め、問題解決に向けて一緒に考えることができるのではないでしょうか?

介護職の現場での1番の問題は、人手不足ではなく、従業員が相談できる環境がないと言うことなのです。

働く従業員の気持ちを受け止めて、一緒に問題解決をすることができればあなたの会社の環境は大きく変わるはずです。

そして、同時に離職も減るはずです。

人手不足が深刻な今、すぐに人材確保と言うことはできません。

人材確保をしてもすぐに離職してしまっては意味はありません。

そうならないために、あなたの会社内の改革が必要なのです。

会社が、上司が、業務過多で苦しんでいる人の気持ちを受け止め、一緒に問題を考えていく。

本当に困っていることを相談できる環境こそがもっとも必要です。

あなたの会社では、従業員間のコミュニケーションを取れていますか?

あなたの会社では、あなたに、上司に、相談ごとは投げかけられていますか?

従業員は相談したくても相談できないのです。

相談できる環境がないのです。

だから不満を抱え爆発して突然辞めてしまうのです。

こちらは、中小企業基盤整備機構が作成したこちらの動画ですが、ここに今の日本の企業の抱える問題が描かれています。

あなたはこの動画を見て何を感じますか?

人員確保に躍起になる前にすべきことは社内のコミュニケーション改革である

人手不足は確かに深刻な問題です。

しかし、その前にすべきことがあります。

それは、今働く従業員の気持ちをしっかり受け止めることです。

介護職の現場の中で問題になることの多くは、人間関係です。

その人間関係の問題を改善することです。

そのためには、コミュニケーション改革をし、従業員が相談できる環境を作ることが人手不足解消よりも必要ではないでしょうか?

今あなたの施設に必要なことは、人手不足や離職に頭を悩ませ、求人広告に予算を割くことではありません。

業務過多に苦しみ悩む従業員や、人間関係に悩む従業員を受け止め、安心、安全に働く環境を作ることです。

そして、悩みを受け止めることができる上司を育成することです。

社内の改革をすることで、組織の崩壊は止められます。

これから先に、人手不足がより深刻になり、超高齢化社会が進み、施設入居者が増える前にできることはあります。

人手不足対策よりも、離職対策や、社内環境を整えて行くことが早急な課題ではないでしょうか。